発酵の魅力が詰まったなごやめし

  • 2025.03.26

濃厚な旨味が特徴的ななごやめしには、発酵の魅力がたくさん詰まっています。

いま世界的にも健康食として注目されている「発酵食」。なごやめしを食べてヘルシーで楽しい旅にでかけましょう。

海外からも注目される発酵食

2013年にユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的ブームになった「和食」。この日本の和食を支えているのが味噌や醤油、日本酒などの「発酵食」です。

発酵とは、微生物(乳酸菌、麹菌、酵母など)のはたらきによって、食べ物の美味しさや栄養価に変化が起こり、保存性を高めること。

和食を支える発酵食は、免疫力を高め、腸内環境や疲労回復など健康食としても、いま世界中で注目されています。

なごやめしが生まれたまちは「発酵食の宝庫」

なごやめしが生まれた名古屋市を含む愛知県は、味噌、醤油、みりん、酢、日本酒などの老舗の発酵メーカーが多く集まる、まさに「発酵食の宝庫」と呼べる街です。

なごやめしは、こういった地域文化や歴史と共にあったからこそ生まれ、地元の人達に愛され続け、いまでは観光客にも注目され誇れる独自の食文化となりました。

私たちが愛する豆味噌について

一般的な味噌は、米麹で大豆を発行させる米味噌。豆味噌は蒸した大豆をつぶして、そこにカビをつけた豆麹をつかう。大豆が麹になり、それがそのまま濃厚な旨味が特徴的な豆味噌となります。

豆味噌の消費量は国内の味噌全体のわずか5%。生産も消費も名古屋市をふくむ愛知県・岐阜県・三重県に限定されています。つまりこの地域に来ないと食べられないという面白い独自の食文化なのです。

また豆味噌をつくる過程で、にじみでた旨味が濃縮された液体をとりだした、たまり醤油。一般的な醤油と違い小麦をつかわないため、グルテンフリーを求めるお客さまにも喜ばれています。

名古屋人の豆味噌好きは、「徳川家康」がルーツ?

名古屋人は豆味噌が大好き。なごやめしの代表格である味噌煮込みうどん、味噌カツなどもこの豆味噌がかかせません。ではなぜ私たちはこんなにも豆味噌が好きなのでしょうか。

豆味噌は長期保存が可能、栄養価が高いなど、料理をする際のメリットがたくさんある食材という面もありますが、個人的には愛知が生んだ大将軍、徳川家康(※1)の存在が大きいのではと思っています。

江戸幕府を開いた徳川家康は健康オタクと言えるほど食に精通していました。豆味噌を中心とした健康食で、平均寿命が30代だった戦国時代に75歳まで長生きしたのです。愛知をはじめ東海エリアの人々は家康さんに憧れ、将軍が食した豆味噌を好んで食べるようになり、400年間ずっと旨味の虜になっていったのではないでしょうか。

私たちが大好きな、旨味たっぷりの豆味噌をつかったなごやめしをぜひお楽しみください。

※1 徳川家康(1543-1616)は徳川幕府の初代将軍。彼は日本を統一し、江戸時代を始め、 250年以上にわたって平和に統治した。

豆味噌をつかった、おすすめなごやめし3件

味噌煮込みうどん

山本屋 桜通大津店
名古屋市中区丸の内3-19-30

五代にわたって続く大久手山本屋の味噌煮込みうどんのこだわりは手打ち麺。その日に提供する麺はその日につくるので、柔らかくもコシがある食感が絶品。特注の土鍋で煮込んだスープはうま味が強く、最後の一滴まで飲みきりたくなるほど美味しい。またハラル対応をした名古屋めしも食べられると話題のお店。

味噌カツ

味処 叶
名古屋市中区栄3-4-110

昭和24年創業、名古屋名物の味噌カツ発祥のお店。濃厚な味噌ダレをよく絡めたカツがワイルドに盛りつけられている味噌カツ丼。どんぶりの真ん中におとされた半熟卵も味噌の味と良く合い箸が止まりません。名古屋まで来ないと味わえない一品は、まさに旅の醍醐味。レトロな店内も素敵なお店です。

味噌おでん

島正
名古屋市中区栄2-1-19

伏見広小路沿いの小さな屋台で営業していた頃から70年以上、地元客から観光客にまで愛され続けている名店。八丁味噌をぐつぐつ煮立たせてつくるどて煮の香ばしく甘い香りが店内を漂う。ここの味噌おでんは、黒い見た目からは想像できない、あっさりとした出汁の味と味噌のコクに食欲が湧いてくる。この味噌につけて食べる串カツも名物の1つ。

筆者:加藤幹泰さん

名古屋を中心とした愛知、岐阜、三重のまちの魅力を楽しむ「体験型」のプログラム、大ナゴヤツアーズを運営する。なごやめしをテーマにしたまち歩きツアーや、味噌煮込みを自分でつくる料理体験なども人気。
https://dai-nagoyatours.jp/

上へ戻る